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千葉県の各地(医療圏)でどの病院に受診するべきか DPCオープンデータ(1)【急性心筋梗塞】
以前投稿した令和元年度のDPC評価分科会データを使用して、病院別の年間の各疾患の入院数を見える化してみました。
DPCのオープンデータ(DPC評価分科会データ)を使って医療機関別の診断群分類の割合を見える化 医療マーケティング – EUZEnホームページ (euzen8.com)
今回は急性心筋梗塞を取り上げてみます。
千葉県全体

千葉県全体では急性心筋梗塞は3,000件の入院があるようです。
左の地図上の円が大きいほど多くの件数を対応しています。
なお、冠動脈ステント留置術等について、
千葉県内のベスト3は
- 旭中央病院 247件
- 千葉西総合病院 236件
- 東京ベイ・浦安市川医療センター165件
でした。
次いで、船橋市立医療センター163件、亀田総合病院156件と続きます。
続いて、各地域(医療圏)で見ていきます。
安房地域

亀田総合病院が3/4のシェアを占めています。
安房地域医療センターも一部担っている様です。
どうしても同時に複数症例が発生してしまったり、病床が満床でどうしても調整出来ない時などのために複数対応出来る病院があった方が心強いので、これはこれで良い状況の様にも思います。
君津地域
君津木更津富津などについて。
こちらはすべて君津中央病院が担っています。
君津中央病院で対応出来ないときは、域外に搬送する必要があります。
君津地域は君津中央病院以外は高度な急性期病院がないので、競合が少ないという意味では良いのですが、急を要する疾患の診療体制としては、少し心配にも思います。
市原地域

市原地域では、千葉県循環器病センター、帝京大学ちば総合医療センター、千葉労災病院でシェアを分け合っている様相です。
一強がない変わりにバランス良く診療を受けていて、どんな状況でも行き先はそれほど困らない様に思います。
山武地域

山武地域では東千葉メディカルセンターが主に心筋梗塞を受けているようですが、一部塩田病院も対応している様です。
このデータからはわかりませんが、西側は千葉県循環器病センターへ、北側はこの後出てくる旭中央病院へ、南側夷隅地域は亀田総合病院へ患者が圏域を超えて搬送される事も多くなっています。
本当はこの病院、茂原付近にあると非常に良い場所のはずであったのが、設立に当たって茂原市が抜けてしまった経緯があるそうです。
香取海匝地域

香取海匝地域は旭中央病院が一手に引き受けています。
この地域、高血圧や糖尿病患者も多く、循環器疾患のハイリスク患者が多い事もあり、急性心筋梗塞の件数も多くなっていることが予想されます。
それを一手に引き受けているため、県内一位の件数を誇っています。
旭中央病院で診れない状況の時に急性心筋梗塞になると、搬送時間もかかってしまうことが予想され、他にも診療出来る医療機関があっても良い様に思いますが、病院自体が少ない地域ですし、医師数自体も少なくこの地域の病院勤務医の医師数も2/3以上が旭中央病院に勤務している様な状況なのでなかなか課題は大きい様に思います。
千葉地域

千葉地域はグラフの左から、
- ちばメディカルセンター
- 千葉県救急医療センター
- 千葉市立青葉病院
- 千葉大学病院
- ちば中央メディカルセンター
- 千葉市海浜病院
- 国立病院機構千葉医療センター
となっています。
上位3病院でシェア75%を超えています。
救急医療体制を考えると、少し役割分担をしても良い様にも思います。
印旛地域

印旛地域は、グラフの左から、
- 日本医科大学北総病院
- 成田赤十字病院
- 東邦大学佐倉病院
- 成田富里徳洲会病院
となっています。
日医北総の件数が頭一つ飛び出しているのは、やはり救急が強いところによるのでしょう。
千葉医療圏よりはバランスが良いように思います。
東葛南部地域

東葛南部地域は左から、
- 東京ベイ・浦安市川医療センター
- 船橋市立医療センター
- 東京歯科大学市川総合病院
- 東京女子医大市川医療センター
- 順天堂大学医学部附属浦安病院
- 行徳総合病院
- 済生会習志野病院
- 船橋二和病院
- セコメディック病院
人口の多い地域だけに件数も多くなっております。特に東京ベイ・浦安市川医療センターと船橋市立医療センターは両者とも県内屈指の件数となっています。
しかしこの地域も再編の余地はあるようにも思います。
東葛北部地域
東葛北部地域は左から
- 千葉西総合病院
- 新東京病院
- 東京慈恵会医科大学附属柏病院
- おおたかの森病院
- 小張総合病院
- 柏厚生総合病院
- 松戸市立総合医療センター
- 東葛病院
- 新松戸中央総合病院
- 柏市立柏病院
となっています。
東葛北部地域は人口に比し医師数が少なく、また医療機関も役割分担が十分できていない様に見受けられます。
働く医師の負担は大きいのではないでしょうか。
今後再編できると良いのですが、実際のところはなかなか困難な様です。
おわりに
以上、急性心筋梗塞について、各医療圏別に調べてみました。
基本的には件数の多い病院の方が治療に習熟しているため、適切な対応が取られる場合が多いです。救急の搬送先のコントロールは患者には困難な場合も多いですが、一つの参考になればと思います。