マネジメント

歴史から学ぶ 経営×戦略①フィリッポスⅡ世(アレクサンダー大王の父)

歴史から学ぶ 経営×戦略①フィリッポスⅡ世(アレクサンダー大王の父)

みなさまアレクサンダー大王については歴史で学んだことがあると思います。

古代マケドニアの王でギリシアからペルシア、果てはインド北西部まで制覇し、西方世界と東方世界を結んだ人物です。東方と西方の交わりはヘレニズム文化を生み、多様化する価値観を背景としたストア派やエピクロス派哲学が生まれる要因ともなったとされています。

私はそのアレクサンダー大王の覇権は父であるフィリッポスⅡ世の下準備があってこそと考えています。

フィリッポス2世

紀元前382年~紀元前336年に生きた人物です。

マケドニア国王であり、前述のようにアレキサンダー大王の実父です。

幼少期ギリシアのテーベという都市国家の人質となっています。人質といっても、扱いは悪くはなく、将来的な同盟を視野に入れての管理をされていたように思われます。ギリシア世界屈指の戦略家エパメイノンダスの薫陶を受けています。

息子のアレキサンダーにはギリシアの哲学者アリストテレスを教育係の家庭教師につけています。私が思うに、アリストテレスの観察を重視する姿勢は戦場における観察眼に少なからず影響を与えたのではないかと思います。ミエザの学園を設け、同じ薫陶をアレキサンダーの友人貴族師弟達にも行い、その貴族師弟たちが編成した部隊は後に最強のヘタイロイ騎兵と呼ばれることとなりました。

過酷な状況を一つ一つ解決

国王になった当初、マケドニアは経済的にも軍事的にも弱く、内部の権力争いが激しく、更に外国からの介入も受けている内憂外患の状況でした。

外ではアテナイやイリュリア人などの周辺勢力の侵略を受け、内では王族のパウサニアスが君主の座を狙っていました。

フィリッポス2世は巧みな戦略でこれらの問題を一つ一つ解決し、その後のマケドニアの躍進の下地を作りました。

国力の増強と行軍人員の構造改革

フィリッポス2世はまずは経済を立て直すために、国民に農地を与え耕作させ、また金鉱を開拓し、国力を増強させ余裕を作りだしました。

次に、できた余裕で、従来戦時に徴兵して運用していた軍を、常備軍として整え、訓練と規律で統制を整えました。5..5mほどのサリッサという槍を集団で構えるマケドニアファランクスという戦術を考案し、他国を圧倒しました。

また、軍に工兵を導入して進軍先の整地や架橋などを行ない、部隊兵糧の分散管理と給仕要員の数を圧縮を行い、行軍人員の構造改革し、運用に当たっては諸兵科連合、すなわち、軽装歩兵、重装歩兵、騎兵、弓兵、工兵複数の兵科を組み合わせお互いに弱点を補い合い、各兵科の能力を最大限発揮できる部隊を編成しました。

フィリッポス2世はカイロネイアの戦いでアテナイ・テーベ連合軍を破り、コリントス同盟の盟主となりギリシアの覇権を握りました。

そのすぐのち護衛のパウサニアスにより暗殺され、ペルシア遠征はアレクサンダーに引き継がれることになります。

フィリッポス2世から学べること 現代経営への応用

前述のフィリッポス2世の奇蹟から多くのことが学べます。

  1. まず収益を向上できる人材を登用する
  2. 組織のガバナンスを向上させる
  3. 効率性の向上や新技術を習得させるトレーニングを実施する
  4. 人材運用の構造改革を行なう
  5. IT人材を育成して活用する
  6. 複数の職種を組み合わせ、お互いの弱点を補い合い、各職種の能力を最大限発揮できるチームを編成する

①まず収益を向上できる人材を登用する

フィリッポス2世はまず国民に農地を開拓させ、金鉱を開拓しました。これは則ち、経済的・人的な余裕を作り出す事を優先したということになります。

経営をする上で、経済的・人的余裕がないにも関わらずそれらを再生産しないところに資源投入しているケースがありますが、それを改め、経済的・人的余裕を生み出すよう資源投入や運用する事が重要となります。

②組織のガバナンスを向上させる

フィリッポス2世は軍を訓練して軍規を徹底させました。現代に置き換えると、組織ガバナンスを向上させる事に他なりません。現代の組織でも命令系統や意思決定機構を整えない限り、適切な運用をなすことはできません。

③効率性の向上や新技術を習得させるトレーニングを実施する

フィリッポス2世は軍を訓練して、マケドニアファランクス戦術を生み出しました。現代においても効率性や収益性の高い商品やサービスを生み出すことが重要です。

④人材運用の構造改革を行なう

フィリッポス2世は給仕人員を少なくして、実践部隊の人員を増やし、兵糧の消費を抑えて戦力を増強する編成を行ないました。同じ人員でも運用次第で生産性が著しく変化することになります。現代においても、業務を効率化してバックヤード部隊をスリム化し、収益部隊を厚くする人員体制を敷くことが収益性・生産性高い組織を作る上で重要となります。

⑤IT人材を育成して活用する

フィリッポス2世は工兵を活用して進軍や戦争を有利に進めていました。現代における工兵はITに置き換えることができるでしょう。IT人材を育成して適切に活用することにより、業務を行なう際に生産性を著しく向上させることも可能になります。

⑥複数の職種を組み合わせ、お互いの弱点を補いあい、各職種の能力を最大限発揮できるチームを編成する

フィリッポス2世は諸兵科連合により状況や相手に応じた有利な戦いを行ないました。現代においてはそれぞれの職種の得意な分野を活かし、時にタスクシフトして、効率的な業務フローを構築することに置き換えることができます。これはBusiness Process Reengineeringに他ならないと思います。

終わりに

以上、古代マケドニアフィリッポス2世から学び現代の経営への応用を考えて見ました。

今回の記事を書くに至った発想は下記動画をもとにしています。

マネジメントは古代からの戦略にそのエッセンスが含まれています。

マネジメントを考える上で、歴史を学ぶ、というのはとても役に立つことだと思っています。

大英雄の父フィリッポス2世【カイロネイアの戦い】世界の戦術戦略 – YouTube

 

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